2人の時間
コドモクラスのこと
アトリエではダウン症の人たちのSunoiroクラスの他の時間で、コドモクラスを行っています。素材に幅をもたせてはいますが、基本的にはSunoiroクラスでダウン症の人たちの制作に関わる姿勢と同じ気持ちで、場をつくっています。一人一人のリズムと「素のまま」の感性を大切にするということです。
この春、アトリエに通っている子どもたちの中に何人かお引越しの子がいました。
ちーちゃんとわこちゃん。普段は同じ幼稚園に通う1歳違いの仲良しさんです。
いつものクラスは一人づつ、じっくりの時間ですが、アトリエで2人一緒の時間を過ごすことにしました。
「2人でアトリエでやりたいことある?」
「うーん」「うーん」・・・「うーん」「うーん」・・・
「じゃあちひろさんがこれはどうかな?って言っていい?」
「うん!」
「今日は2人だからできることはどう?お互いを描きっこしてみない?こんな大きい紙あるけどー」
「やるやるー!」
そんな会話で始まった最初で最後の2人アトリエ。
お互い体の線をなぞっていきます。くすぐったいね。
手の先もさわられて、こそばゆいけど、なんだか嬉しい。
わたしは絵の具で。
わたしはクレヨンで。案外大きくて、「きつくなってきた」の声にすぐ隣からかけつけます。
「こんどはちひろさんをかくー!」といって。
はだいろってどんな色?赤・オレンジ・黄・黄緑・・自分たちで作った色を手につけて色チェックです。
エプロンを描いてたら絵の具のしぶき跡がなんだかとても楽しくなってきた!
紙がやぶれても、まだまだ2人は描きつづけます。
それがやりたいんだったらダンボールにしよっか。丈夫な素材を前に踊る2人。
そうか、2人でこれがやりたかったんだね。
2人だからできたね。
アトリエで過ごした子どもたちが、どこへ行っても、まわりがどうあろうとも、私は私。そのままの自分でいいんだと自分を受け入れる力をもって過ごせるようにと願っています。
この先、自分の絵を、「何を描いているかわからない」と言われる日がくるかもしれない。その時にこれが今の私なのだと言えるように。
またその時周りの大人たちが、絵が正しいとか間違っているとかではなく、上手い下手でもなく、丁寧とか雑でもなく、のびのびとか細かいでもなく、分かる分からないでもなく、そういう全てのものさしを一旦置いて、その子の今そのままのこころの姿だと受け取れるように。
ちーちゃん、わこちゃん、元気でね。
またいつでもアトリエにおいでね!