夏のコドモクラス

「こんにちは」と今にも言いだしそうなこの帽子はコドモクラスのみわちゃんが描いたものです。
海や川でいつも麦わら帽子をかぶっているおじいちゃんに、だそうです。
お辞儀をしたら、こんな顔が現れてくるなんて、なんともハッピーな帽子ですね。
この夏のアトリエ時間を象徴しているような一枚です。
おじいちゃん、喜んでくれたかな。
コドモクラスでは、一人ひとりが制作したいもの、やりたいこと、を大切にしています。
夏のアトリエでは、傘や靴、箱、土粘土、など素材を増やして、いつもより長くゆったりめに制作をしました。そんな時間の一部をご紹介します。

壁にかかっているカズくんの帽子をみて、ずっとやりたかったナギくん。帽子をいただけて嬉しかったね。

自分の分とお母さんの分と。「ふちを残してるのがおしゃれ」なのだそう。この後これで買い物に行ったら、素敵ですねと声をかけられたよって。

私は靴をやりたい。16.0サイズの白いかわいい靴を仕上げていきます。ゆめちゃんは手がとまることがない。感じると手が直結してます。

飾っておくのだそうです。ボタンの使い方がキュート。

大きい傘が動物園になってきた。迫力があるね。

絵の具は使わない。テープ、シール、アルミホイルを使って、中から見て楽しくなる傘を作っています。宇宙みたいだねって。

制作がおわったら、土粘土遊び。実際に石州瓦の原料になるものです。水をたくさん足して、「土の国が、水の国になったー!」

丸シールを満足するまではりこんでいきます。カイくんだから見えるものがあります。

まだまだはりたい。

傘の下が私のアトリエ。「ここからおてがみをだすからね」

「あ、月がくもにかくれているみたい!いくつもあるよ、お月さま」

傘の下から届いた字のないお手紙。ヒナちゃんの世界。

最小限の素材で無限の世界を作り出すイチくん。「探査機。これでなんでもはっけんできるよ」

土粘土に絵を描いてみたいな。これに直接絵の具やってもいいの?やってみよう。

あ、なんか指が踊ってきた!

自分の箱。いくつかの種類の中からあえて折り紙を選んだ女の子。折り紙という見慣れた素材が、新鮮に見えます。
めいっぱい自分のための制作時間を過ごして、作品を大事そうに抱えて帰る子、やりきってもう作品のことは振り向かない子、それもそれぞれです。
「在るものを在るがごとくするのは、ある程度訓練すればできる。無いものを在るようにするところに、その人らしさが出る、そこがその人の表現だよ」
アトリエがいつもお世話になっている画材屋の店主の言葉が浮かびます。
在るものを在るように描かれたものが上手な絵であると思い込んではいないだろうか、そういう目線で無意識に作品を見て評価していないだろうか。一人一人まったく違っている感性を、大人のものさしで知らぬうちに判断していていないだろうか。
感性は、誰も手を加えることのできない、自然の領域に近いものだと思います。
それこそがその人たる所以、かけがえのないものであるはずです。そこには人の評価や良し悪しが入り込む余地がないのだと、ただ認め合うものだと思います。
ダウン症の人たちにとっても、そうでない人にとっても、誰でも無い自分らしさ、素の感性が思いっきり表現できる場であり続けたいと、あらためて思う、夏の時間でした。






