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2018-11-09

バランス

最近ピタゴラスイッチにはまっているおとくん。アトリエの材料棚のどこからか木の玉をみつけては、にんまりとした表情を見せます。よく見ていますね。ちょうど溝のはいっている1メートル定規も自分で取り出して、組み合わせます。ごくごくシンプルな装置ですが、玉が転がる、ぶつかる、倒れる、入る、という一連の流れを、あーでもない、こーでもないと試行錯誤しながら作っていきます。アトリエに来たらまずこれをやるのが習慣です。
 

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玉をジャンプさせようとしてみる。

 

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シュート!この笑顔!
 

以前は、この装置をつくるという習慣に代わっていたものは、建物を見て回るというものでした。押し入れという押し入れを開けて舐め回すように見る、そして入ってみる。アトリエに来たらいつもまずおとくんが一通りやること、それは波に乗る前の静かな儀式のようにも思えます。言葉はありませんが、「今日もここは変わらないかな、ちひろさんもついてきてくれるかな」と確かめているような気もします。落ち着いて、おとくんの中でOKのサインがでたら、一気に制作に突入です。ここからはあっという間です。

 

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手が走る、走る、走る。

 

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ぐっと集中している時、自分のいのちのリズムを刻んでいる。
 

うんとリラックスしている状態から、潮が満ちるかのように自然に制作に向かっていく瞬間に、いつもぞくぞくとした感覚を覚えます。ダウン症の人は「リラックス」がとっても上手です。上手というか、ただありのままの自分でいるから、身構えたり、力むことがありません。いつもの自分で「リラックス」しながら「集中」するという高度で絶妙なバランス感覚に、いつも尊敬の念を覚えるのでした。

 

 

 

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