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2020-06-05

おかえり

6月に入り、夏の日差しが感じられるようになりました。みなさま、それぞれの場所で、健やかにお過ごしのことでしょうか。
お休みをしていたアトリエも6月から再開しました。初日はコドモクラスから。久しぶりの笑顔に「おかえり」という言葉が自然とこぼれました。
この期間、保護者の方たちも、それぞれの場所で不安な思いを抱え、守るべきものを守ってこられたことと思います。こどもたちも慣れないマスクをずっと着けて、限られた環境の中で我慢をしてきたことでしょう。
どんな思いで今ここにいるのか、顔をみたら分かりあえる。久しぶりの再会に多くの言葉は必要ありませんでした。

暮らしの中に「オンライン」が飛び込んで来て、距離をとったままでも「できる」世界を体感しました。オンラインだからこその出会いや学び、触れられるものがあるのだと気づきがありました。一方、アトリエの時間はオンラインではどうしても難しいところがあります。アトリエで大切にしているのは、相手が感じていることに寄り添って、表現を汲み取って、その人だけの世界を一緒に見るということです。そのためには一緒にものを見て、目を合わせて、手と素材に触れて、息づかいを感じて、偶然を楽しみながら、寄り添うことが必要です。同じ空間で同じ空気を吸っていないとできないことなのです。
どうかみんなが無事でありますように、また場を共有できますようにと願いながら、アトリエに風を通し、積み重なった時間の感触を確かめるような日々でした。

今週は天気がよく、アトリエにも心地よい風が吹き抜けています。風に頬をなでられるような、ふっと力が抜けるような感覚を少しでも感じていただけたら嬉しいです。
 

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新しい筆と絵の具の瓶で気持ちいい。イーゼルで描くのも気分が変わって気持ちいいね。

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空におばけがあらわれる、そうです。

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なんとも堂々とした山です。

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今どうしたら気持ちいいかをよく分かっている。リラックス上手。

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りんたくんが先生になります。5時間目の「がっかつ」が絵を描く時間で、6時間目は「おやつ」。

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庭でカラスの鳴き声にこたえて叫んでみる。

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気持ちがよいので踊ってみる。

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音楽が聞こえてきたからギターをつまびいてみる。周りのできごとに共感していく、りんたくんの世界。

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ゆっくりゆっくりのリズムで長く集中しながら絵を描いていく。やっちゃんの時間の流れ。

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長い廊下にぽつぽつと作品を残していく。

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弦をひくと、カマキリの歩く音、夜のくまの足音、風の音が聞こえるそうです。

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建物、駐車場、ビル、木、車。ぼくの街ができあがっていく。未完成だけれども早く遊びたくて抱えて帰りました。

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描きたいものを描きたいように描く。手がすらすらと動く。シンプルで難しいことがさらっと起こります。

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保護者も一緒にくつろいで帰られます。「ここに吹く風は気持ちいいいね」と。

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アトリエでダウン症の人やこどもたちと一緒に過ごしていると、彼らは今何が自分にとって心地いいのか、どうしたら気持ちいいのか、よく分かっていると感じます。何より自分の感覚に忠実、リラックス上手です。思考よりも感覚を、正しさよりも自然さを、からだで選んでいるからだと思います。不安や心配さが身近にあるときほど、その感覚はおぼろげになっていくような気がします。アトリエでの彼らは、からだの感覚が確かなことを、自分らしさを取り戻す健やかなやり方を、主張するわけでもなく、ただそう在ることで伝えてくれているようです。心地よさ、美しさへの案内人です。

 

 

 

 

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