光のあるところ
10月2日(土)から10日(日)の9日間、津和野SHIKINOKASHAのオープンギャラリーでした。ずっと秋晴れで、強い光とからっとした風の中、空間と作品と来てくださった方たちが、やわらかくなじんでいくのを感じました。
今回オープンしたSHIKINOKASHAは、朽ちていく空き家に丁寧に手をかけられ、再びうまれた場所です。ギャラリースペースと、みんなが集える和室、お庭、それぞれがゆるやかにつながっていて、心地よい気が流れています。約2年の歳月を経て、生まれ変わった場所のお披露目の会。ギャラリーでは、はじまりの展示で、Atelier Sunoiroの作品展、夏のワークショップ作品の展示を行いました。
アトリエとしては2度目の作品展でしたが、あらためて、ダウン症の人たちの作品の調和する空気や、場にすっとなじみ、静かにすべてを包み込むようなおおらかさ、そして健やかさを感じました。それらは彼らの本来の在り方そのものです。「ひとつひとつは強い色彩があふれているのにやわらかく感じる。」「自然の風景をみているように気持ちいい。」「こちらが絵に向かうのではなくて、見ている私に寄り添ってくれた気がする。」「全体でひとつのような雰囲気がある。」「こんな風に無心に描けたらいいな、自由だな。」絵を目の前にした方たちからは、こんな声を聞かせていただきました。
そんな風に感じるのは、きっと私たちひとりひとりの中にも、ダウン症の人たちが本来もっているエッセンスがあるからだと思います。リラックスしていて、ユニークで、やさしくて、おだやかで、平和で。作品を通して、生まれたての私たちがもっていたものを呼び起こしてくれるから、絵と自分が響き合うのだと。
和室では、夏のワークショップ「わたしとキャンバス、みんなと和紙」に参加くださった方たちの作品展示です。ひとりひとりがユニークで、かけがえがなくて。夏を超えて、自分の描いた作品が飾られているのを見るのは、少しこそばゆいような、うれしいような。作品や和紙のかけらを見つけては「あったー!」という姿がまた、あたたかい場のひとかけらになっていました。
SHIKINOKASHAはじまりのおめでとうに、一緒に場をつくれたこと、ほんとうにうれしく思います。空間と作品と人と植物が響きあって、いつでも光がそそいでいるような9日間でした。お越しくださったみなさま、近くで、遠くで、見守ってくださったみなさま、どうもありがとうございました。
SHIKINOKASHA 2021.10.2-10