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日々のアトリエ
2021-10-14 | 日々のアトリエ

光のあるところ

10月2日(土)から10日(日)の9日間、津和野SHIKINOKASHAのオープンギャラリーでした。ずっと秋晴れで、強い光とからっとした風の中、空間と作品と来てくださった方たちが、やわらかくなじんでいくのを感じました。

今回オープンしたSHIKINOKASHAは、朽ちていく空き家に丁寧に手をかけられ、再びうまれた場所です。ギャラリースペースと、みんなが集える和室、お庭、それぞれがゆるやかにつながっていて、心地よい気が流れています。約2年の歳月を経て、生まれ変わった場所のお披露目の会。ギャラリーでは、はじまりの展示で、Atelier Sunoiroの作品展、夏のワークショップ作品の展示を行いました。

アトリエとしては2度目の作品展でしたが、あらためて、ダウン症の人たちの作品の調和する空気や、場にすっとなじみ、静かにすべてを包み込むようなおおらかさ、そして健やかさを感じました。それらは彼らの本来の在り方そのものです。「ひとつひとつは強い色彩があふれているのにやわらかく感じる。」「自然の風景をみているように気持ちいい。」「こちらが絵に向かうのではなくて、見ている私に寄り添ってくれた気がする。」「全体でひとつのような雰囲気がある。」「こんな風に無心に描けたらいいな、自由だな。」絵を目の前にした方たちからは、こんな声を聞かせていただきました。

そんな風に感じるのは、きっと私たちひとりひとりの中にも、ダウン症の人たちが本来もっているエッセンスがあるからだと思います。リラックスしていて、ユニークで、やさしくて、おだやかで、平和で。作品を通して、生まれたての私たちがもっていたものを呼び起こしてくれるから、絵と自分が響き合うのだと。

和室では、夏のワークショップ「わたしとキャンバス、みんなと和紙」に参加くださった方たちの作品展示です。ひとりひとりがユニークで、かけがえがなくて。夏を超えて、自分の描いた作品が飾られているのを見るのは、少しこそばゆいような、うれしいような。作品や和紙のかけらを見つけては「あったー!」という姿がまた、あたたかい場のひとかけらになっていました。

SHIKINOKASHAはじまりのおめでとうに、一緒に場をつくれたこと、ほんとうにうれしく思います。空間と作品と人と植物が響きあって、いつでも光がそそいでいるような9日間でした。お越しくださったみなさま、近くで、遠くで、見守ってくださったみなさま、どうもありがとうございました。

 

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2021-09-21 | 日々のアトリエ

わたしとキャンバス、みんなと和紙

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この夏の間、2回にわたって津和野のギャラリー、SHIKINOKASHAさんと一緒にワークショップを行いました。小さいお子さんから大人の方まで、ひとつのテーブルで同じ時間、同じ素材を共有しながら一緒に絵を描いていきます。友達と、家族と、はじめましての人たちと。参加してくださった方々の触れる、感じる、描いてみる姿と、庭の植物たちの佇まいが響きあって、新しい場所に息吹がめぐっていった気がしました。
「わたしとキャンバス、みんなと和紙」時間のひとかけらをお伝えすることができたら嬉しいです。

 

IMG_7958どんな風に描いてもいい。筆は使わずに手だけで世界をつくっていく。

 

IMG_7957色と親しむ。

 

3824F5B7-3564-448F-ACAC-A459C24ECB33_1_105_cお母さんの膝の上で筆をにぎる。色がまじってゆく不思議。

 

578A62CE-A1D9-443E-82EA-1C0F1259DADB_1_105_c久しぶりに絵を描いた喜びが伝わるかのよう。

 

3BF2EB0C-2AEA-44DA-B5B4-678BCC70CC14_1_105_cお父さんの膝の上で筆をにぎる。ゆっくりと筆を動かしてみる。

 

B5B7D428-F9E8-412D-8389-63EAF3891E31_1_105_cキャンバスに描いた後は、和紙のかけらに水彩絵具をのせてゆく。

 

EC01FA4B-C6FE-4FA8-A1F2-C39F2655E6B6_1_105_c和紙ならではの色のにじみ。水と色が心地よくからだに入っていくよう。

 

4574B699-64D4-468C-A589-0AD69C68F819_1_105_c強めの色も和紙ではやわらかい感じに。

 

63CA2BE8-7C12-4E2F-83A1-CB56254BCCFF_1_105_cひとりひとりのかけらを貼り合わせて、「みんなと和紙」になっていく。

 

C69EE10E-A939-4276-B16F-A66B1B140796_1_105_cてらいのない色と形が重なり合って響くうつくしさ。

 

ワークショップにご参加いただいた皆さんの作品は、10月2日(土)ー10日(日)のSHIKINOKASHAオープンギャラリーで展示をします。加えて、Ateler Sunoiroのダウン症の人たちの作品も同時に展示予定です。光と緑を包んだまっさらな空間に、色彩と温度が加わって、どんな光景が見られることだろう。アトリエとしては2年ぶりの作品展示になります。ダウン症の人たちのもつ調和で平和な雰囲気を感じてリラックスしていただける空間をイメージして、準備を進めていきたいと思います。

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SHIKINOKASHA |シキノカシャ

オープンギャラリー 2021年10月2日(土)-10(日)
時間 10:30-18:00(入場は17:30まで)
場所 〒699-5605島根県鹿足郡津和野町後田ロ-590
お問合せ0856-72-0244(代) / info@shikinoka.jp

2021-07-16 | 日々のアトリエ

毎日新聞のこと

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朝夕の蝉やひぐらしの声がにぎやかになってきました。それぞれの場所で健やかにお過ごしのことでしょうか。
今週、7月13日と15日、毎日新聞にアトリエのことを掲載していただきました。丁寧に真摯に取材してくださったのは、毎日新聞記者の萱原健一さん。ギターで青葉市子を弾かれるという、こころを大事にされている方でした。おおらかでやさしい言葉をありがとうございました。

下記のURLから途中までお読みいただけます。覗いてみていただけたらうれしいです。

 

障害と芸術~言葉を超えて/5 素の色を出せるアトリエ 自分のリズムで絵を描く/島根
https://mainichi.jp/articles/20210713/ddl/k32/040/317000c
 

障害と芸術~言葉を超えて/6 ありのままで 救いとなる場所の伴走者/島根
https://mainichi.jp/articles/20210715/ddl/k32/040/423000c

#毎日新聞 #ニュース

 

2021-07-16 | 日々のアトリエ

7月22日、津和野で

SHIKINOKASHA

 

春のオープンアトリエが終わって3ヶ月半。あれよあれよという間に梅雨を越え夏を迎えました。アトリエに通うダウン症の人たちやこどもたちにはアトリエのお引っ越しという環境の変化でしたが、この3ヶ月半ですっかり新しい場に馴染んでいます。彼らのOKが聞けたら間違ってない証拠。気に入ってくれてほっと一安心です。

ひとつ夏のお知らせです。7月22日、津和野のSHIKINOKASHAにてワークショップを行います。オーナーの俵志保さんと出会って、ギャラリーを作る話を聞いたのが去年の10月。出会った時からごく自然に響きあい、Ateleir Sunoiroの作品でオープニングの展示をしようとイメージが膨らんでいきました。

打ち合わせでは7月22日、展示の初日でワークショップをする予定でした。でもまだ世の情勢の不安が落ち着かないことから、ゆっくり焦らず、秋頃にみなさんにご覧いただけるよう、整えようということになりました。展示までの7〜9月の間、月に一度ワークショップを行いながら、参加者のみなさんの作品でゆるやかに空間が変化していく予定です。変わっていく光景を一緒に体感することができたらうれしいです。夏を超えて、秋を迎えた頃、アトリエの作品と参加者のみなさんの作品が響き合う光景を想っています。

ART WORK SHOP ♯001「わたしとキャンバス」「みんなと和紙」
@ateliersunoiro × @shikinokasha

お問い合わせ、お申し込みは下記まで

■お問合せ
info@shikinoka.jp
FB / Instagram DM
0856-72-0244
俵種苗店SHIKINOKA

■お申し込みフォーム
https://forms.gle/vS4xr2HuJqfr58tT6

 

2021-04-20 | 日々のアトリエ

やさしいとあたたかい

遅咲きの最後の桜が風に舞って、山々のみどりがにぎやかな季節になりました。日々新しくなろうとする自然のリズムに圧倒される日々です。

春のオープンアトリエ、おかげさまでたくさんの方々にお越しいただき、1週間を無事に終えることができました。それぞれの場所から「おめでとう」を届けていただき、とっても嬉しかったです。来て下さった方々、思いを寄せて下さった方々の気持ちが満ちて、やさしく、あたたかな場となりました。あらためて、感謝申し上げます。ありがとうございました。

アトリエで見られたひとつひとつの光景。一人ひとりのこころからうまれた小さな物語。嘘がないあるがままの姿。今までもこれからも大切にしていきたいことをあらためて教えていただいた気がします。ダウン症の人たちが心地よく過ごせる環境は、そうでない子どもや大人にとっても過ごしやすい環境で、その中で耳をすませ、眼差しをむけてみれば、どこまでもやさしい世界があります。
自分のこころが大切にされていると感じられるように。一人ひとりのささやかな物語こそが生きている喜びだと感じられるように。光のようなたしかな感覚を信じて、新たな場で月日を積み重ねていきたいと思います。

オープンアトリエ中見せてもらった、数え切れないシーンのほんのひとかけらですが、少しでも雰囲気を感じていただけたら嬉しいです。

 

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期間中見守ってくれていたのは、ダウン症のかずくん、おとくんの作品と、山の植物のブーケ。あるがままの姿が響きあう。

 

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いろいろ考えたけれど、「とにかくやってみよー」手が動き、感じ始める。

 

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「裏にはチューリップを描こう、表には桜を描こう」

 

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「わー、​光に透かしたら土から生えてるみたい。」

 

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花瓶に生けられた桜を見て、「桜はピンクじゃなかった、花びらは白」と。

 

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わたしがすきないろにぬった。

 

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てんてんてん、まるまるまる。

 

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しゅっしゅっしゅっ、春の風。姉妹で響き合う。

 

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「かお、かけるよ」

 

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ここにもかお。

 

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散っていた花びらをのせてみる。即興で手が動く。
 

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桜ってどんなだったけな、下から見てみよう。

 

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それぞれの青。響き合う。

 

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透かしてみれば。

 

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こどもと。おとなと。

 

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キャンバスの裏も画面。自分だけのみどりをつくる。

 

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表はこう。
 

 

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わたしのいろ。

 

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「ぼくは青がいちばんすき」

 

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虹に手形を重ねあわせる。光のような。

 

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お父さんと絵の具でおいかけっこ。

 

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表も裏もない、まっさら。

 

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おかあさんも描きたくなって。

 

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普段は選ばないような色をあえてつかってみる。

 

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クレヨンを何層にも重ねていく。身近な海の景色。
 

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寝っ転がって描くのは気持ちがいいね。

 

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宇宙、星、

 

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童話の挿絵のような。自然の景色。

 

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クレヨンの上に絵の具を重ねて布でこする。あっという間にできた。

 

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キャンバスだけじゃ足りなくて。描きたいように描く。

 

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おとなの静かな時間、じっくりと自分のリズムをきざんでいく。

 

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キャンバスに今日の春をすくいとる。

 

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その場に居合わせた2人が交じり合っていく。私の絵が2人の絵になっていく。

 

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「なにいろがいいかなー」「そうだねぇ」やさしいかけ合い。

 

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はじめての絵の具。てらいのない色使い。

 

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女の子が残していってくれた絵のことば。

 

アトリエは先週から通常クラスがスタートしています。いつものメンバー、りんたくん、おとくん、かずまさくん、さちこさん、じょうたろうくんもそれぞれ新しい場所にすっと心地よくなじんでいて、「あれ、ずっと前からこうしていたっけ?」と感じるほどです。新しい場所に来たコドモクラスのみんなも、のびのびした気持ちで制作をしています。新しい場所を気に入ってくれてほっと一安心です。ほっとしすぎて通り過ぎていましたが、4月12日でアトリエも6年目を迎えました。5月からは土曜日の午前と午後、コドモクラスを新たにはじめる予定です。クラスの詳細は追ってご案内いたします。
またここからどんな景色が見られるのだろう、私自身もまっさらな気持ちで場を整えていきたいと思います。Atelier Sunoiro、これからもどうぞよろしくお願いいたします。

 

2021-03-11 | 日々のアトリエ

春のオープンアトリエ

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春のオープンアトリエのお知らせです。

背景に使わせてもらった作品は、コドモクラスのあおいちゃんの絵画です。まだ凍える寒い2月、「きょうははるのいろをつかいまーす!」と12色を選んで一気に描き上げました。吹き抜ける風や桜の息吹き、春のみずみずしさを感じさせてくれます。自然のリズムをからだとこころで受け取っているからこそ、先取りして表現ができるのだなあと思います。

土手の桜のつぼみもふくらんできました。新しいアトリエでみなさんのお越しをお待ちしております!

2021-03-04 | 日々のアトリエ

お引っ越しのお知らせ

すっかりご無沙汰してしまいました。季節もゆらぎながら変わっていく中、みなさんそれぞれの場所で健やかにお過ごしのことでしょうか。

この春、アトリエは美川という地域へお引っ越しいたします。今の所から車で15分ほどの山あいのところです。一足先に住んでいますが、周布川のゆったりした風が流れ、暮らす人たちのあたたかさが感じられる、心地よい場所です。

Atelier Sunoiroは5年前、3人のダウン症の人たちと一緒にはじまりました。ゆっくりと年月を重ねるにつれ、ダウン症でないお子さんやおとなの方にとっても大事な場に育っていたことに、今気付かせてもらっています。
誰にとっても、自分のこころが大切にされていると感じられるところ。自分のリズムで表現ができるところ。新しい場所が、「いつでもここで待ってるよ」と灯火のようであれたらと思います。

今のアトリエは3月20日(土)が最終日となります。ご見学はクラス以外の時間で対応させていただきます。ご希望の方はお早めにご連絡ください。

お引っ越し後は早速、3月27日(土)から1週間、春のオープンアトリエを行う予定です。普段アトリエに参加されていない方でも、どなたでもご参加いただけます。その頃は土手の桜が見頃なことでしょう、お散歩がてらに足をお運びいただけたら嬉しいです。
オープンアトリエの詳細は追ってお知らせいたします!

最終日の20日まで、残りわずかになってきました。今日はかずまさくんのここでの最後の制作。一回ずつを丁寧に愛しんでいくアトリエ時間です。
 

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2020-10-29 | 日々のアトリエ

点になる

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島根県浜田市の議会だより(11月1日発行分)の表紙に、アトリエ作品写真の協力をさせていただきました。

深呼吸したくなるようなゆったりとした雰囲気をまとうこの作品は、かずまささんの作品です。石州和紙にアクリル絵の具で描かれています。青、薄青、黄、緑、オレンジ。知っているはずの色が、かずまささんの心と手を通ると魔法がかったように清々しく感じられます。あらためて色そのものと出会わせてくれてるようです。色と色とが隣り合う、あわいにうまれる線の美しさが、波打ち際のような、夕日のにじむ地平線のような、自然のリズムをも感じさせてくれる作品です。

浜田市にお住いの皆さんの元に必ず届く、議会からのお便り。ダウン症の人たちの作品が、こうしてまちの人たちと議会をつなぐ点になれたこと、嬉しく思います。私たちの暮らしにつながる最初のページを開く時、ふっとリラックスした気分を感じていただけたらなお嬉しいです。冬の足音が近づいてきました、ゆっくりとあたたまりながら、ご覧になってみてください。

2020-09-24 | 日々のアトリエ

はたらく場と

風にそよぐ黄金色の田んぼに、たくさんの真っ赤な彼岸花が見られる季節となりました。
みなさんお変わりありませんか?アトリエに通うみんなも元気です。

先日、島根県益田市と東京都渋谷区に拠点を置くデザイン会社、益田工房さんを訪ねてきました。少し緊張しながらアトリエの作品2点を持って。

この4年間ひそかに、アトリエのダウン症の人たちの作品が、ホテルやオフィスや病院にあったらいいなあと思いをあたためてきました。そしてその場所はアトリエのある浜田市を中心に、通っている人たちの住む町や、つながる土地でありたいと。

アトリエでの彼らは、描きたいという強い欲望や、描かなきゃという焦燥とは無縁です。紙と絵の具があるな、じゃあ描こうかなというなんとも健康的な素の姿で制作をしています。そうした余白を持って、リラックスしている中から生まれた作品が、町に暮らす人が憩う場、はたらく場、ケアされる場にそっと寄り添うようにあるのが自然なあり方だと感じてきました。

作品と空間とが互いに響きあえるのを思い描いていたところ、益田工房の洪さんと出会い、はじめの一歩でご相談をしたらば、作品を見にアトリエまで来て下さり、とんとんと決まったのが今回持っていった2点の作品です。それは偶然にも益田市から通っているじょうさんの作品でした。
じょうさんはダウン症ではありませんが、朗らかで大らかな性質と、本質をつく鋭さとがあり、言葉ではないコミュニケーションの中で大事な気持ちを共有しながら制作をしています。彼が暮らす町のデザイン会社に作品がある光景。それは小さな一歩ですが、光のようにたしかな感覚でした。

オフィスのある2階のドアを開けると、小さなギャラリーのような空間があります。今回はその壁に展示させていただきました。ギャラリースペースとオフィスは壁一枚を隔ててつながっていて、アーチ型の大きな窓の向こうに撮影スペースが見えます。天井が高いオフィスは工場のようで、ここで人と思いと素材とが交わって、結晶のようなデザインが生まれているのですね。
デザインのお仕事に携わる方たち、このスペースに足を運ばれる方たちの、ふっとした瞬間に、目や心にとまり、寄り添えますようにと願いながら過ごしたひと時でした。
 

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展示の機会を下さった益田工房の洪さん、お仕事の手をとめて展示をお手伝いして下さった八谷さん、スタッフのみなさん、どうもありがとうございました。

photo: yatagai yoshiyuki
益田工房: https://masudakohboh.com/

 

 

 

 

 

2020-06-05 | 日々のアトリエ

おかえり

6月に入り、夏の日差しが感じられるようになりました。みなさま、それぞれの場所で、健やかにお過ごしのことでしょうか。
お休みをしていたアトリエも6月から再開しました。初日はコドモクラスから。久しぶりの笑顔に「おかえり」という言葉が自然とこぼれました。
この期間、保護者の方たちも、それぞれの場所で不安な思いを抱え、守るべきものを守ってこられたことと思います。こどもたちも慣れないマスクをずっと着けて、限られた環境の中で我慢をしてきたことでしょう。
どんな思いで今ここにいるのか、顔をみたら分かりあえる。久しぶりの再会に多くの言葉は必要ありませんでした。

暮らしの中に「オンライン」が飛び込んで来て、距離をとったままでも「できる」世界を体感しました。オンラインだからこその出会いや学び、触れられるものがあるのだと気づきがありました。一方、アトリエの時間はオンラインではどうしても難しいところがあります。アトリエで大切にしているのは、相手が感じていることに寄り添って、表現を汲み取って、その人だけの世界を一緒に見るということです。そのためには一緒にものを見て、目を合わせて、手と素材に触れて、息づかいを感じて、偶然を楽しみながら、寄り添うことが必要です。同じ空間で同じ空気を吸っていないとできないことなのです。
どうかみんなが無事でありますように、また場を共有できますようにと願いながら、アトリエに風を通し、積み重なった時間の感触を確かめるような日々でした。

今週は天気がよく、アトリエにも心地よい風が吹き抜けています。風に頬をなでられるような、ふっと力が抜けるような感覚を少しでも感じていただけたら嬉しいです。
 

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新しい筆と絵の具の瓶で気持ちいい。イーゼルで描くのも気分が変わって気持ちいいね。

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空におばけがあらわれる、そうです。

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なんとも堂々とした山です。

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今どうしたら気持ちいいかをよく分かっている。リラックス上手。

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りんたくんが先生になります。5時間目の「がっかつ」が絵を描く時間で、6時間目は「おやつ」。

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庭でカラスの鳴き声にこたえて叫んでみる。

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気持ちがよいので踊ってみる。

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音楽が聞こえてきたからギターをつまびいてみる。周りのできごとに共感していく、りんたくんの世界。

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ゆっくりゆっくりのリズムで長く集中しながら絵を描いていく。やっちゃんの時間の流れ。

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長い廊下にぽつぽつと作品を残していく。

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弦をひくと、カマキリの歩く音、夜のくまの足音、風の音が聞こえるそうです。

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建物、駐車場、ビル、木、車。ぼくの街ができあがっていく。未完成だけれども早く遊びたくて抱えて帰りました。

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描きたいものを描きたいように描く。手がすらすらと動く。シンプルで難しいことがさらっと起こります。

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保護者も一緒にくつろいで帰られます。「ここに吹く風は気持ちいいいね」と。

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アトリエでダウン症の人やこどもたちと一緒に過ごしていると、彼らは今何が自分にとって心地いいのか、どうしたら気持ちいいのか、よく分かっていると感じます。何より自分の感覚に忠実、リラックス上手です。思考よりも感覚を、正しさよりも自然さを、からだで選んでいるからだと思います。不安や心配さが身近にあるときほど、その感覚はおぼろげになっていくような気がします。アトリエでの彼らは、からだの感覚が確かなことを、自分らしさを取り戻す健やかなやり方を、主張するわけでもなく、ただそう在ることで伝えてくれているようです。心地よさ、美しさへの案内人です。

 

 

 

 

2020-02-07 | 日々のアトリエ

楽しくね

アトリエには座右の銘にしている言葉があります。「楽しくね」、ダウン症のハルコさんがかつてよく書いていた言葉です。調和・平和の性質で生きている彼らの言葉は本質をついていて、いつでも思い出して、世界は心地よいことを思い出させてくれます。難しく考えて苦しくなりそうな時は、「楽しくね」とおまじないのように唱えると効果抜群です。楽しいは感じること。迷った時は感覚で気持ちいい方を選んでいたら、間違いはなさそうです。そんなふっと力が抜けるような、やさしくなれるような、ダウン症の人たちの感覚を少しでも感じていただけたら嬉しいです。

 

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おだやかな笑顔のサチコさん。

 

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制作に入ると静かに勢いづく。「いいねー」と自分で確かめるようにつぶやきながら筆はすすみます。

 

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今日もカズくんのリズム。和紙のやわらかさとかずくんの穏やかさが響き合う。

 

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どうしてこんなにきれいな色が出せるのだろう

 

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冬のレモンを手のひらの中で確かめる。

 

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堂々としたレモンのスケッチ

 

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リンタくんの最近のテーマは車。

 

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もちろんお仕事をしている。「もしもし」「はーい、かしこまりました」

 

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カズくんのギターで熱唱

 

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制作のあとのリラックスタイム。

 

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愛くるしいヤエちゃん。

 

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おやつを食べてもなにをしてても楽しい

 

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見慣れたストローがオブジェに変わっていく。

 

今日も、楽しくね。

2020-02-07 | 日々のアトリエ

楽しくなくっちゃ

昨日はこの冬はじめての雪景色、アトリエ横のお庭にも満開の白梅に降る雪がきれいでした。新しい年を迎えてからも、アトリエに通うみんなは変わらず元気です。アトリエカメラの中にはたくさんの「楽しい」がつまっていました。

 

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絵も好き。絵の具をとばすのも楽しい。

 

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粘土も好き。自然の素材と組み合わせて。

 

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「今日は森をつくりたいの!」庭から草や実や枝や石を拾ってきて森のミニチュアを作っていきます。

 

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制作途中に読んだ絵本から、ナマケモノのいる森に。

 

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ぼくの街。ビル・エレベーター・立体駐車場・線路・休憩するところ

 

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ひなちゃんが最近夢中になっているアートカード。自分のテーマを決め作品を選んで鑑賞していきます。

 

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かずくんのギターはコドモクラスでも大人気。

 

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絵の具と筆に慣れてたくさん遊べるようになってきたね。

 

 

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大事なものをいれるから、よーく注意して運べるように。

 

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どんな電車があったらいいかを考える。

 

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小さい子どもも楽しめるように、ドアの下半分はガラス張りに。蓄電池と水素で走る特急電車だそう。

 

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いつもこころに電車が。

 

興味のある素材やテーマ、その子のもつ体力や集中力、もちろんその日の気分も一人ひとりそれぞれです。一人ひとりまったく違う感性、それでも、みんなの根底に共通してる気持ちは「楽しい」です。楽しいから描く。楽しいからつくる。楽しいから伝える。大人が忘れがちな、ごくシンプルで原始的な衝動だと思います。コドモクラスをやっていると、毎回必ず1回は聞くセリフがあります。「いいことおもいつーいた!」です。この言葉が聞けたら、自分にしか分からない、きれいさやおもしろさに出会えたんだな、と嬉しくなります。アトリエカメラにたまったみんなの写真が、楽しくなくっちゃはじまらないよ?と問いかけているようです。それはまた、こどもたちが真摯に自分だけの楽しさと向き合える時間を大切にできているかな?との問いかけでもあります。

つい最近、98歳の現役アーティスト、柚木沙弥郎さんのお話会に参加した方からお話を伺いました。どうしてそんなに精力的に制作に向かえるのですか?との会場からの問いに、「だって楽しいからだよ!」と椅子から立ち上がって答えられたそうです。その無邪気な様子の向こう側に、「いいことおもいつーいた」と制作しながら笑う柚木さんを見た気がしました。

絵を描き続けること、ものをつくり続けること、表現をし続けることの原点をあらためて教わるこの頃です。

 

2020-01-07 | 日々のアトリエ

ごあいさつ

2019年もAtelier Sunoiroに参加して下さった皆さま、一緒にお仕事させていただいた皆さま、いろんな形でお気持ちをお寄せ下さった皆さま、どうもありがとうございました。

アトリエというこんなに小さな場でも、続けていくにはたくさんのエネルギーが必要です。何より現場に立つ自分がにごってはいけません。自分と息子たちを守るだけでも手一杯で、その上アトリエも守っていくことの大きさに震える思いでした。1人で始めたプライベートアトリエ、代わりになれる人がいません。もっと強くなりたいといつでも思っています。それでも。アトリエをやめようとは思えませんでした。この春で5年目を迎える小さなアトリエが、ダウン症の人たちにとって、それ以外のお子さんにとって、保護者の方たちにとって、大事な場所になっていると感じられるからです。

ゆっくりのペースで歩んできた2019年でしたが、大きな一歩は作品展ができたことです。梅雨の晴れ間の気持ちいい風がよく通る1日、たくさんの方々にお立ち寄りいただきました。「色がきれい」「心地いい」「穏やかな気持ちになれる」。作品を前に多くの方がリラックスされている様子に、私がアトリエでダウン症の人たちに感じているものと同じ確かなものを感じました。その光のような「確かなもの」をこれからも信じていこうと思います。

1年の終わりに時々の初心を。
ダウン症の人たちが自分のリズムで制作をすることで生きる活力へと繋がる場所であるように。彼らの感性が野花のようにあるがままで美しいことを感じられる場所であるように。ちいさくて、こころの通いあう、風が吹き抜ける場所を目指して。

2020年もどうぞよろしくお願いいたします。
新しい1年が皆さまにとって幸せな時間でありますように。

2019年最後の1日に
Atelier Sunoiro  
栗山千尋

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2019-11-11 | 日々のアトリエ

うしのしっぽで

朝からよく晴れ渡った11月9日。津和野町左鐙にある「山のこども園うしのしっぽ」の収穫祭にアトリエも参加させていただきました。

うしのしっぽの子どもたちは毎日を山で過ごしています。牧場の周りの広いフィールド全体が子どもたちの遊び場です。ここには、山だからこその心地よさ、やさしさ、美味しさ、怖さ、不思議さ、凄さ、美しさを全開の感覚で受けて、瞬間をめいっぱい生きている子どもたちがいます。子どもたちの本来持っている力を信じて見守るスタッフがいます。山に抱かれるようにして一人ひとりが自分のいのちを刻んでいる、心地よい気の流れる場所です。

 

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みんなが集う場所に光が降り注ぐ。

 

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牧場の牛が出迎えてくれます。

 

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ふれるとやさしくてあったかい。

 

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山だから地面もまっすぐではありません。どんぐりに絵の具をつけて置いてみたら転がってできる線のおもしろさ。

 

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ダイナミックに筆を動かしてみる。

 

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ぼくの手。あらためて自分の手と出会っているような時間。

 

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小さな足をぐっと踏ん張って懸命に筆を動かしていきます。

 

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筆をぐるっとしてみたり、縦に動かしてみたり。自分の跡ができていく不思議。

 

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絵を描いてたら色を混ぜたくなってきた。

 

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ぼくも、わたしも、やってみる。

 

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お日様の熱と2人の手のぬくもりで粘土もちょうどいいやわらかさ。

 

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その手と眼差しに女の子の強い気持ちが感じられました。
 

うしのしっぽでは、子どもたちの一人ひとりのリズム、そして本来持っている好奇心や感性を何よりも大切にされています。今日どこでどうしたいのか。今この瞬間何にこころが動いているのか。大人のではない、子ども一人ひとりの軸があります。自分の軸で動いているということは、誰でもない自分を生きているということ。生きていく上で一番大切なことを毎回教わっている気がします。うしっぽファミリーのみなさん、ありがとうございました!

 

 

2019-10-23 | 日々のアトリエ

つむぐ

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photo : tumugi's mom

 

今日は、もうすぐ2歳になるつむぎちゃんとお母さんが、はるばる山口より遊びにいらしてくださいました。

まっさらな目とこころのつむぎちゃん。アトリエに入れば、絵やかずくんのギターや筆や、なにもかもが目新しく、触っては確かめ、目を見開いて喜びの表情です。場に慣れてきた頃、薄く溶いた水彩絵の具でにじみ絵あそびをしました。3つのびんに入れた絵具が水にとけて、あか、あお、き、になっていく様子を見つめる真剣な眼差しは、色との出会いそのものでした。

大きめの筆をびんの中でかちゃかちゃ動かし、たっぷり色水を含んだ筆を目の前に掲げては、「うー!」という声。みつけたよ、みて、おもしろいよ、いろんな気持ちが聞こえてきそうな「うー!」でした。筆をびんに戻しては出して、戻しては出して。初めてちょん、と筆をつけたのは机の上でした。たしかに、紙に描かなきゃいけないなんて決まりはないですものね。机の上でちょんとしたり、線をひいてみたり、その延長で紙の上につながると、くっきりと色と線が残ることに気づきました。

そこからは、真っ白な紙に、まっさらなこころとつながっている手がのっていきます。筆をすーっと真横に動かしたり、ぐるっと回してみたり、誰でもない、今日のつむぎちゃんの作品がうまれました。

お母さんは、「つむぎが来てくれてよかった」とおっしゃいます。「名前のように、いろんな人とのご縁を紡いでくれている」と。ただいてくれるだけで嬉しい。そのままのあなたがいい。ダウン症をお持ちのお子さんにとっても、ご家族にとっても、アトリエは一人ひとりの素の感性を深いところから肯定する場であり続けたいと、あらためて思いました。

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